晩年のノートや手紙を精読すると、マルクスが最終的に思い描いたコミュニズムは、水、土地、エネルギー、住居など私たちにとっての共有財産である「コモン」を取り戻すことを目指したものだということがわかる。第4回は、生産力至上主義として批判されてきたマルクスが、気候変動や環境問題といった喫緊の問題を乗り越えるビジョンをもっていたことを明らかにし、現代社会を生きる我々が何をなすべきかを具体的に考える。 (C)NHK
古今東西の名著をわかりやすく解説。番組では伝えきれない情報も満載です 書名や著者名は知っているけれど、内容はよくわからない……。そんな「気になっていた」名著の数々を、25分×4回の1か月100分でわかりやすく解説する番組のテキストです。一流の研究者や作家が講師を担当、読者に語りかける平易な文体と脚注や図版を駆使した丁寧なページ構成で、名著の魅力を伝えます。 ■ご注意ください■ ※NHKテキスト電子版では権利処理の都合上、一部コンテンツやコーナーを掲載していない場合があります。ご了承ください。 ■今月のテーマ 気鋭の経済思想家が、エコロジー・脱成長の視点からマルクスを読み直す 長時間労働、格差、不安定雇用――資本主義の暴力性がむき出しになる中、世界的にマルクス再評価の機運が高まっている。『資本論』で構想された持続的で平等な未来社会とは?古臭い「コミュニズム」のイメージを覆し、『資本論』を社会変革に向けた実践の書として捉え直す、まったく新しいマルクス論。 ■講師:斎藤幸平
ホーム > 和書 > 文芸 > 文芸評論 > 文芸評論(海外) 出版社内容情報 気鋭の経済思想家が、エコロジー・脱成長の視点からマルクスを読み直す 長時間労働、格差、不安定雇用、低賃金――。資本主義の暴力性がむき出しになるなか、世界的にマルクス再評価の機運が高まっている。生産力が上がるほど人が貧しくなるのはなぜなのか。なぜ過労死するまで働き続けなければならないのか。『資本論』で構想された持続的で平等な未来社会像とは?ソ連型の社会主義とマルクスの目指した「コミュニズム」は何が違うのか。 150年前に書かれた『資本論』には、現代社会が抱える問題を考えるヒントが数多く記されている。とくに、自然との関係のなかで人間の労働のありかたを分析する「物質代謝論」は、これまでエコロジーの視点でほとんど読まれてこなかった。 マルクス研究の権威ある国際学術賞を最年少で受賞した斎藤氏はこの点に注目。難解かつ長大な『資本論』で展開される資本主義の構造的矛盾について平明に解説するいっぽう、マルクスが晩年に遺した自然科学研究、共同体研究の草稿類も参照し、『資本論』の完成を見ずに世を去った希代の社会思想家の真意を読み解いてみせる。パンデミックや気候変動といった地球規模の環境危機をふまえ、いまこそ必要な社会変革に向けた実践の書として『資本論』をとらえ直す、まったく新しいマルクス論。
(だからどうした? )と言っている。 役に立たないからと厄介者扱いするのではなく、役に立てないと絶望するのではなく、わたしたちは老いを老いとして引き受ければいい。 高齢者だって「七十歳、八十歳、九十歳がどんなものか発見する過程にいる。 ・素裸役に立たなきゃ生きてちゃいかんか (20日)〇ボーヴォワール"老い"(4)「役に立たなきゃ生きてちゃいかんか!」② 番組の最後に、ボーヴォワールの言葉が紹介される。 書くとは瞬間を救い出すこと、第一が自分の経験を伝達する喜び 次に言葉で人や事物を永遠化させる喜び ▼私は、そのなかに私の人生が/刻みこまれている/ この人類の冒険が/無限につづくことを必要とする。 私は若い人びとが好きだ。 私は彼らのなかに、/われわれの種〔人類〕が継続すること、 そして人類がよりよい時代を/もつことを望む。 この希望がなければ、/私がそれに向かって進んでいる老いは、 私にはまったく/ 耐えがたいものと思われるだろう。 ------ ボーヴォワールは1986年78歳の人生を全うする。 番組の終わりにボーヴォワールが亡くなったあとの、フランスの哲学者エリザベート・バダンテールが寄せた追悼文が紹介される。 ▼子どもをもちたいと/けっして願わなかったこの女性が 世界じゅうの何百万の娘たちの/精神的な母であることは なんという矛盾であり、/なんという勝利であることか!
気鋭の経済思想家が、エコロジー・脱成長の視点からマルクスを読み直す 長時間労働、格差、不安定雇用、低賃金――。資本主義の暴力性がむき出しになるなか、世界的にマルクス再評価の機運が高まっている。生産力が上がるほど人が貧しくなるのはなぜなのか。なぜ過労死するまで働き続けなければならないのか。『資本論』で構想された持続的で平等な未来社会像とは?ソ連型の社会主義とマルクスの目指した「コミュニズム」は何が違うのか。 150年前に書かれた『資本論』には、現代社会が抱える問題を考えるヒントが数多く記されている。とくに、自然との関係のなかで人間の労働のありかたを分析する「物質代謝論」は、これまでエコロジーの視点でほとんど読まれてこなかった。 マルクス研究の権威ある国際学術賞を最年少で受賞した斎藤氏はこの点に注目。難解かつ長大な『資本論』で展開される資本主義の構造的矛盾について平明に解説するいっぽう、マルクスが晩年に遺した自然科学研究、共同体研究の草稿類も参照し、『資本論』の完成を見ずに世を去った希代の社会思想家の真意を読み解いてみせる。パンデミックや気候変動といった地球規模の環境危機をふまえ、いまこそ必要な社会変革に向けた実践の書として『資本論』をとらえ直す、まったく新しいマルクス論。【商品解説】